介護ときどき音楽ときどき自然

王様の耳はロバの耳

死んだ生活をする老人

ある人がベッドの上で亡くなって発見された。

高齢で身寄りがなく、俗に言う孤独死だった。

 

この仕事をやっていると、看護ほどではないが、やはりお付き合いがある方が急に亡くなることが必然的に多くなる。

もちろん家族やお知り合いの悲しみはあるだろうけど、介護士も仕事の付き合いとは言えやはり生身の人間。

思うところは介護士それぞれあるだろうけど、やはりダメージが無いとは言えない。

 

昨日まで生きてた人が、突然次の日に亡くなるのだ。

この仕事で一番怖いのが、人が亡くなったと言う事が日常化してしまって無感情になってしまう事が一番怖い。

人の死に、いくら他人とはいえ感情が死んでしまうのは、介護の本質からも遠くなって行く気がする。

 

人は死ぬ。

いつか必ずどんな人でも死ぬ。

死に方は様々だが、介護現場でもたくさんの死がある。

生と死は当たり前のように世界では毎日繰り返されている。

 

介護士は坊さんのように崇高な職業ではないとは思う。

むしろそこまで求められても、介護士は国が用意した高齢者や重病者の日常生活の支援がメイン。

それ以上でもそれ以下でもない。

 

ただ、、

 

それで良いのか?という疑問は常にある。

 

資本主義社会が栄え、行き詰まり始めている今の世界で、物質な豊かさが果たしてどこまで続くのだろう。

発展を繰り返したその先に人類は何を求めているのだろう。

 

日本は人口が減り、衰退していく。

 

僕ら介護士はどんな生活をし、どんな人間になっていくのだろう。

 

僕らが介護を受ける時、いやむしろ介護保険は破綻しているかもしれないが、自分達が介護を受ける時になって、始めて自分達がしてきた事の答えが出る。

 

正しい介護士の在り方について今考えなければ未来はない。

 

死んだ目をして毎日を過ごす老人達が溢れる国にならない事を祈りたい。